【読書ログ】陳浩基/13・67

  • 2019年12月10日
  • 2019年12月10日
  • 読書

 

今回はまた読んだ本について書いてみたいと思います。

香港人作家の陳浩基「13・67」というミステリー小説です。

初めて読む作家でしたが、当たりだったと思いますね。

 

過去にブクログ大賞(海外小説部門)をとったっていう記事をみて、面白そうだったので読んでみました。

ちなみにこの陳さん、日本の小説もかなり読んでいて横溝正史とか大好きらしいです。

 

昔から香港映画は好きだったけど、香港を舞台にした中文小説を読むのは初めてでした。

ただ、ネットで調べてみるとこの小説、すでにアジアでかなり人気があるようですね。

 

主人公は「天眼」と呼ばれた名警察官、クワン。

彼に解決できなかった事件はないといいます。

物語は2013年に始まり、一話ごとに過去にさかのぼっていくという逆年代記になっています。

 

冒頭で語られる警察の使命。

「『捜査官は上官の命令を順守すべし』は鉄則だが、警察官たるものの真の任務は市民を守ることだ」

「もし警察内部の硬直化した制度によって無辜の市民に害が及んだり、公正が脅かされるようなことがあれば、我々はそれに背く正当性があるはずだ」

クワンがすっと信念としている考えです。

(これがまた最後の章で複線のように効果を発揮するんですが・・・!)

 

一話一話が独立した話になっていますが、どれもミステリーとして純粋に面白いです。

ページをめくるごとに時代がさかのぼっていき、1997年香港返還を経て、最終話は1967年の反英暴動に端を発した事件で終結します。

こうして時代を追ってみると、香港という地区がいかに大国に翻弄されてきたのかという歴史がよくわかりますね。

なのでこの小説はミステリーであり、かつ香港の移り変わる時代を描いた社会派小説とも言えます。

 

正直、最初に1話目を読んだときは、「おもしろいけど、まあこんなもんか~」というのが率直な感想でした。

でも2話目、3話目と話が進むにつれてどんどん面白くなってきて、話に引き込まれていきます。

そして最終話を読み終えると、伏線が一気に回収され、また1話目から読みたくなる。

1話目を改めて読むと、「結局、全話おもしろいじゃん!!!」ということになりました。笑

 

社会派的な側面からみると、日本人は中国人(本土)も香港人も一緒だと考えがちだと思うんですが、香港人にとっては「自分たちは中国人ではなく香港人である」というアイデンティティが強いんだろうと改めて感じました。

それが今まさに問題になっている香港での反中暴動につながっているんではないでしょうか。

暴動が始まった当初はまさかこんなにも事態が深刻化するとはみんな思ってなかったと思います。

でもその勢いはどんどん増してきて、条例を撤廃するまでに至りました。

その手段が正しいかどうかは別として。

でも彼らがこれで自由になったのかというと、そう簡単に結論の出る問題ではないのでしょう。

 

1997年の香港返還から22年。

当時、この先50年間は香港での資本主義等、独自の制度を許可するという一国二制度が敷かれました。

当時私は中学生くらいだったと思います。

50年後の未来なんて、子供だった私にとっては永遠と思えるくらい先の話だと思っていました。

でもそれもいずれ終わりが来ます。

しかも実際はそう遠くない将来の話です。

クワンが現代に生きていたら、いったい何を思うでしょうね。

 

デモに賛成するわけではありませんが、その未来が香港人にとってよりよきものであることを願うばかりです。

 

ちなみに、これは映画化した方がおもしろいかも~と思っていたら、すでにウォン・カーワイが映画権取得してたみたいですね。

いつになるかわからないけど気長に待ちたいと思います~。

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